マルチクラウドとは?基礎知識をわかりやすく解説
マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて運用する戦略のことです。例えば、AWS(Amazon Web Services)とMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)を目的に応じて使い分けるイメージです。
近年、多くの企業がマルチクラウドを採用しています。Flexera社の調査(2024年版)によると、企業の87%が何らかの形でマルチクラウド戦略を取り入れているとされています。単一のクラウドサービスに依存するリスクを避け、各サービスの強みを最大限に活かすことが目的です。
よく混同される用語に「ハイブリッドクラウド」があります。両者の違いを整理しておきましょう。
| 項目 | マルチクラウド | ハイブリッドクラウド |
|---|---|---|
| 定義 | 複数のパブリッククラウドを併用 | パブリッククラウドとオンプレミス(自社サーバー)を併用 |
| 主な目的 | ベンダーロックインの回避、最適なサービス選定 | セキュリティ要件とクラウドの柔軟性の両立 |
| 運用の複雑さ | 高い(複数プロバイダーの管理が必要) | 中程度(クラウドとオンプレの連携が課題) |
| 代表的な例 | AWS+Azure+GCP | AWS+自社データセンター |
実際にはマルチクラウドとハイブリッドクラウドを組み合わせるケースも多く、自社の業務要件に合わせた柔軟な設計が求められます。
なぜ今マルチクラウドがおすすめなのか?5つのメリット
マルチクラウドが多くの企業に選ばれている理由を、具体的なメリットから解説します。
メリット1:ベンダーロックインを回避できる
特定のクラウドサービスに依存すると、料金改定やサービス終了のリスクに対応しにくくなります。マルチクラウド構成にしておけば、万が一の際にも別のクラウドへ移行しやすくなります。
実際に2023年には、あるクラウドサービスが急な料金改定を行い、単一利用していた企業がコスト増に苦しんだ事例がありました。複数のクラウドを使っていた企業は、ワークロードの移動で迅速に対応できたのです。
メリット2:各クラウドの強みを活かせる
クラウドサービスにはそれぞれ得意分野があります。
- AWS:サービスの幅広さ、グローバルなインフラ規模
- Azure:Microsoft製品との親和性、エンタープライズ向け機能
- GCP:データ分析・機械学習、Kubernetesの原点
用途に応じて最適なサービスを選べるのがマルチクラウドの最大の魅力です。Webアプリケーションの基盤はAWSで、データ分析はGCPのBigQueryで、社内システムはAzureで、といった使い分けが可能になります。
メリット3:障害耐性(レジリエンス)の向上
2024年にも大手クラウドサービスで大規模障害が発生しました。単一のクラウドに依存していた企業は長時間のサービス停止を余儀なくされました。
マルチクラウド構成なら、一つのクラウドが停止しても別のクラウドでサービスを継続できます。ビジネスの継続性を重視する企業にとって、これは非常に大きなメリットです。
メリット4:コスト最適化の実現
各クラウドの料金体系は異なります。ワークロードの特性に応じて、最もコスト効率の良いクラウドを選択できます。
例えば、大容量のデータストレージにはGCPのCloud Storageが割安な場合があり、コンピューティングにはAWSのスポットインスタンスが有利な場合もあります。適材適所の配置で全体のクラウドコストを20〜30%削減した企業事例もあります。
メリット5:コンプライアンス対応の柔軟性
業界や地域によってデータの保管場所に規制がある場合があります。金融業界のデータは国内に保管する必要がある一方、グローバル展開するサービスは海外リージョンを使いたい、といった要件に柔軟に対応できます。
マルチクラウドのデメリット・注意点も正直に解説
メリットだけでなく、マルチクラウドには注意すべきポイントもあります。導入前にしっかり理解しておきましょう。
デメリット1:運用管理の複雑化
複数のクラウドを運用するということは、それぞれの管理コンソール・課金体系・セキュリティポリシーを把握する必要があるということです。運用チームのスキルセットが幅広く求められます。
この課題を解決するために、Terraform(テラフォーム)やPulumi(プルミ)といったIaC(Infrastructure as Code)ツールを活用するのがおすすめです。複数のクラウド環境をコードで一元管理できます。
デメリット2:セキュリティ管理の難しさ
クラウドごとにセキュリティの仕組みが異なるため、統一的なセキュリティポリシーの適用が難しくなります。IAM(Identity and Access Management)の設定、ネットワークセキュリティ、暗号化の仕組みがクラウドごとに違うためです。
対策として、CSPM(Cloud Security Posture Management)ツールの導入が効果的です。Prisma CloudやWizなどのサービスを使えば、複数のクラウド環境のセキュリティ状態を一元的に監視できます。
デメリット3:データ転送コスト(エグレス料金)
クラウド間でデータをやり取りする際には、エグレス(送信)料金が発生します。大量のデータを頻繁に移動する設計にすると、想定外のコストが発生する可能性があります。
マルチクラウド設計では、データの配置場所と移動頻度を事前にしっかり計画することが重要です。
デメリット4:人材確保の難しさ
AWS、Azure、GCPそれぞれに精通したエンジニアを確保するのは簡単ではありません。マルチクラウドに対応できるエンジニアは市場価値が高く、採用コストも高くなりがちです。
株式会社アイティークロスでは、SES(システムエンジニアリングサービス)事業を通じて、AWS、Azure、GCPに対応できるクラウドエンジニアの育成と派遣を行っています。名古屋を拠点に、大手自動車メーカーや金融機関のクラウド案件を多数手がけており、マルチクラウドの実務経験を持つエンジニアが在籍しています。
おすすめのマルチクラウド構成パターン7選
ここからは、実際に多くの企業で採用されているおすすめのマルチクラウド構成パターンを7つご紹介します。自社の業務要件に合った構成を見つけてください。
パターン1:AWS+Azure(エンタープライズ向け定番構成)
| 用途 | 使用クラウド | 主なサービス |
|---|---|---|
| Webアプリケーション基盤 | AWS | EC2、ECS、RDS |
| 社内システム・Microsoft連携 | Azure | Azure AD、Office 365連携、Power BI |
最もポピュラーな組み合わせです。社内システムでMicrosoft製品を使っている企業にとって、AzureのActive Directory連携は必須といえます。一方、顧客向けWebサービスはAWSの豊富なサービスラインナップを活用するのが効率的です。
おすすめの業種:金融機関、製造業、官公庁
パターン2:AWS+GCP(データ活用重視型構成)
| 用途 | 使用クラウド | 主なサービス |
|---|---|---|
| アプリケーション基盤 | AWS | EKS、Lambda、DynamoDB |
| データ分析・機械学習 | GCP | BigQuery、Vertex AI、Dataflow |
データ分析に強いGCPのBigQueryは、大規模データの高速処理において圧倒的な性能を誇ります。アプリケーション基盤はAWSで構築し、分析基盤はGCPに集約するパターンが増えています。
おすすめの業種:EC事業者、メディア企業、データドリブン経営を目指す企業
パターン3:Azure+GCP(AI・ML特化型構成)
| 用途 | 使用クラウド | 主なサービス |
|---|---|---|
| 業務アプリケーション | Azure | Azure App Service、Azure OpenAI Service |
| ML基盤・データ分析 | GCP | Vertex AI、TensorFlow Enterprise |
Azure OpenAI ServiceでChatGPTなどのAIモデルを活用しつつ、独自のMLモデルはGCPのVertex AIで開発する構成です。2024年以降、生成AIの普及で急速に採用が増えています。
おすすめの業種:IT企業、研究機関、AI活用を推進する企業
パターン4:AWS+Azure+GCP(フルマルチクラウド構成)
3大クラウドすべてを活用するフルマルチクラウド構成です。大企業やグローバル企業で採用されることが多く、各クラウドの最も得意な領域だけを厳選して使います。
ただし、運用の複雑性は最も高くなるため、専門のクラウドチームの設置が前提です。SREチームやクラウドCoE(Center of Excellence)を組織内に設けるのが一般的です。
パターン5:AWS+国産クラウド(データ主権重視型構成)
さくらのクラウドやIDCFクラウドなどの国産クラウドとAWSを組み合わせるパターンです。データの国内保管が厳格に求められる官公庁案件や金融機関で採用されています。
重要データは国産クラウドに保管し、スケーラビリティが求められる部分はAWSを使うという設計です。
パターン6:AWS+Oracle Cloud(基幹系システム向け構成)
Oracle Databaseを基幹システムで使っている企業にとっては、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)との組み合わせが効果的です。OCIではOracle Databaseのライセンスコストが大幅に削減できるため、コスト面でのメリットが非常に大きい構成です。
アイティークロスでもOracle関連の案件を多く手がけており、Oracle DatabaseとAWSの連携設計に関する知見を蓄積しています。
パターン7:パブリッククラウド+SaaS特化型構成
IaaS/PaaSとしてAWSやAzureを使いつつ、特定の機能はSaaSで補完するパターンです。例えば、監視はDatadog、ログ管理はSplunk、CI/CDはGitHub Actionsというように、ベストオブブリード(最善の組み合わせ)でシステムを構成します。
広義のマルチクラウドとして、スタートアップや中小企業にもおすすめの構成です。
マルチクラウドの選び方|失敗しない5つの判断基準
「どの組み合わせが自社に合っているかわからない」という声をよく聞きます。ここでは、マルチクラウドの選び方で押さえるべき5つの判断基準をご紹介します。
基準1:既存システムとの親和性
現在使っている技術スタックとの相性を最優先で考えましょう。
- Microsoft製品(Office 365、Active Directory)を使っている → Azureは必須
- Oracle Databaseが基幹にある → OCIを検討
- Kubernetesを積極活用している → GCP(GKE)が強い
- 幅広いサービスを柔軟に使いたい → AWSを中心に設計
基準2:チームのスキルセット
運用チームが持つスキルに合わないクラウドを選ぶと、学習コストが膨大になります。現在のチームメンバーの資格取得状況や実務経験を棚卸しした上で判断しましょう。
AWS認定資格を持つメンバーが多ければAWSを中心に据える、といった判断が現実的です。
基準3:コスト構造の比較
同じスペックのインスタンスでも、クラウドごとに料金は異なります。以下のポイントで比較してください。
- コンピューティング料金(オンデマンド/リザーブド/スポット)
- ストレージ料金(保存料金+データ転送料金)
- ネットワーク転送料金(特にクラウド間のエグレス料金)
- マネージドサービスの料金体系
AWS Cost Explorer、Azure Cost Management、GCPのCost Managementツールをそれぞれ活用して、PoC(概念実証)段階で実際のコストを測定することをおすすめします。
基準4:セキュリティ・コンプライアンス要件
業界特有の規制に対応しているかを確認しましょう。
| 業界 | 主な規制・要件 | おすすめクラウド |
|---|---|---|
| 金融 | FISC安全対策基準 | AWS、Azure(FISC対応済み) |
| 医療 | 3省2ガイドライン | AWS、Azure、GCP(いずれも対応) |
| 官公庁 | 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP) | AWS、Azure、GCP、OCI |
| 製造 | ISMS、ISO 27001 | 主要クラウドはすべて対応 |
基準5:将来の拡張性
現時点のニーズだけでなく、3〜5年後のビジネス成長を見据えた選択が重要です。AI/ML活用を予定しているならGCPの検討は外せませんし、グローバル展開を考えているならAWSのリージョン数の多さが強みになります。
マルチクラウド導入の実践ステップ
マルチクラウドの導入は段階的に進めるのがおすすめです。一気にすべてを移行しようとすると、リスクが高まります。
ステップ1:現状アセスメント(1〜2週間)
まずは現在のIT資産を棚卸しします。
- 使用中のサーバー・サービス一覧
- 各システムの依存関係
- データの保管場所と量
- 現行のコスト構造
- チームのスキルマップ
ステップ2:クラウド戦略の策定(2〜4週間)
アセスメント結果をもとに、どのワークロードをどのクラウドに配置するかの方針を決めます。この段階でクラウドアーキテクトの知見が重要になります。
社内にクラウドアーキテクトがいない場合は、外部のSESサービスを活用するのも有効な選択肢です。アイティークロスでは、AWSやAzureの設計経験を持つエンジニアが、名古屋エリアの企業様のクラウド戦略策定をサポートしています。
ステップ3:PoC(概念実証)の実施(4〜8週間)
小規模な範囲でマルチクラウド環境を構築し、実際に運用してみます。
- パフォーマンス測定
- コストの実測
- 運用手順の整備
- セキュリティの検証
ステップ4:段階的な移行(3〜12ヶ月)
PoCで得た知見をもとに、優先度の高いシステムから順番に移行します。リスクの低い非本番環境から始め、本番環境は最後に移行するのが鉄則です。
ステップ5:運用最適化(継続的)
移行後も継続的にコスト最適化やセキュリティ強化を行います。FinOps(クラウドの財務最適化)の考え方を取り入れ、定期的にリソースの棚卸しと最適化を実施しましょう。
マルチクラウド運用に必須のおすすめツール
マルチクラウドを効率的に運用するためには、適切なツールの活用が不可欠です。カテゴリ別におすすめツールをご紹介します。
IaC(Infrastructure as Code)ツール
| ツール名 | 特徴 | 対応クラウド | 学習コスト |
|---|---|---|---|
| Terraform | 業界標準のIaCツール。HCL言語で記述 | AWS、Azure、GCP、OCI他 | 中程度 |
| Pulumi | Python、TypeScript等の汎用言語で記述可能 | AWS、Azure、GCP他 | 低〜中 |
| Crossplane | Kubernetes上でクラウドリソースを管理 | AWS、Azure、GCP | 高い |
監視・オブザーバビリティツール
- Datadog:マルチクラウド環境の統合監視に最適。ダッシュボードが直感的で使いやすい
- Grafana+Prometheus:オープンソースで構築できるため、コストを抑えたい場合におすすめ
- New Relic:APM(アプリケーション性能管理)に強く、アプリレベルの監視に優れる
セキュリティツール
- Prisma Cloud(Palo Alto Networks):マルチクラウドのセキュリティを統合管理
- Wiz:エージェントレスでクラウドのセキュリティリスクを可視化
- HashiCorp Vault:マルチクラウド環境のシークレット(機密情報)管理
コスト管理ツール
- Spot by NetApp(旧Spot.io):マルチクラウドのコスト最適化を自動化
- CloudHealth by VMware:クラウドコストの可視化とガバナンス管理
- Infracost:Terraformコードからインフラコストを事前に見積もり
マルチクラウドに必要なエンジニアスキルとキャリアパス
マルチクラウド環境の需要拡大に伴い、対応できるエンジニアの市場価値は急上昇しています。ここでは、マルチクラウドエンジニアに求められるスキルと、キャリアパスを解説します。
必須スキル
- 複数クラウドの基礎知識:AWS、Azure、GCPのうち最低2つの基礎を理解していること
- IaCツールの操作スキル:Terraformは業界標準。最優先で習得すべきスキルです
- コンテナ技術:Docker、Kubernetesはマルチクラウドのポータビリティに不可欠
- ネットワーク設計:クラウド間のVPN接続やピアリング設計の知識
- セキュリティの基礎:IAM設計、暗号化、ネットワークセキュリティ
おすすめの資格
- AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト/プロフェッショナル
- Microsoft Certified: Azure Solutions Architect Expert
- Google Cloud Professional Cloud Architect
- HashiCorp Certified: Terraform Associate
- Certified Kubernetes Administrator(CKA)
キャリアパス
マルチクラウドエンジニアのキャリアパスは多彩です。
- クラウドアーキテクト:企業全体のクラウド戦略を設計するポジション。年収800万〜1,500万円
- SRE(Site Reliability Engineer):マルチクラウド環境の信頼性を担保するエンジニア。年収700万〜1,200万円
- FinOpsエンジニア:クラウドコストの最適化に特化した専門職。近年需要が急増中
- クラウドセキュリティエンジニア:マルチクラウドのセキュリティ設計・運用を担当
アイティークロスでは、充実した研修制度によりAWS、Oracle、Javaなど幅広い技術の学習を支援しています。異業種からの転職者が5割以上在籍しており、未経験からクラウドエンジニアへの転身を実現した社員も多数います。年間休日125日、残業月平均12.3時間という環境で、学習時間をしっかり確保できるのも強みです。
まとめ:自社に最適なマルチクラウド構成を見つけよう
マルチクラウドは、もはや大企業だけの選択肢ではありません。中小企業やスタートアップでも、目的に応じた適切な構成を選ぶことで大きなメリットを得られます。
この記事のポイントを整理します。
- マルチクラウドとは複数のクラウドサービスを組み合わせて運用する戦略のこと
- 主なメリットはベンダーロックイン回避、各クラウドの強みの活用、障害耐性の向上、コスト最適化、コンプライアンス対応
- デメリットとして運用の複雑化、セキュリティ管理の難しさ、データ転送コスト、人材確保の課題がある
- おすすめ構成は自社の既存システム、チームスキル、コスト要件、セキュリティ要件から判断する
- 導入は段階的に進め、PoCで検証してから本番移行するのが鉄則
- 適切なツール(Terraform、Datadog、Prisma Cloud等)を活用して運用効率を高める
- マルチクラウドエンジニアの市場価値は高く、キャリアアップの大きなチャンスになる
マルチクラウドの導入・運用には専門的な知識と経験が必要です。社内リソースだけでは対応が難しい場合は、SESサービスを通じた外部エンジニアの活用も有効な手段です。株式会社アイティークロスでは、名古屋を拠点に大手自動車メーカーや金融機関のクラウド案件を数多くサポートしています。マルチクラウドに関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
マルチクラウドとハイブリッドクラウドの違いは何ですか?
マルチクラウドは複数のパブリッククラウド(AWS、Azure、GCPなど)を組み合わせて使う戦略です。一方、ハイブリッドクラウドはパブリッククラウドとオンプレミス(自社サーバー)を組み合わせる戦略です。マルチクラウドはベンダーロックインの回避が主な目的であり、ハイブリッドクラウドはセキュリティ要件とクラウドの柔軟性の両立が主な目的です。両方を組み合わせるケースも多くあります。
マルチクラウドの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
規模やシステムの複雑さによりますが、一般的には現状アセスメントに1〜2週間、戦略策定に2〜4週間、PoC(概念実証)に4〜8週間、段階的な移行に3〜12ヶ月程度が目安です。小規模なシステムであれば3ヶ月程度で導入できることもありますが、大規模な基幹システムの移行では1年以上かかることもあります。
マルチクラウドはコスト削減になりますか?それとも割高ですか?
適切に設計すれば、マルチクラウドはコスト削減につながります。各クラウドの料金体系の違いを活かし、ワークロードに最適なクラウドを選択することで20〜30%のコスト削減を実現した事例もあります。ただし、運用の複雑化による人件費増やデータ転送コストを考慮する必要があるため、PoC段階で実際のコストを測定することが重要です。
マルチクラウドの運用に最低限必要なスキルは何ですか?
最低限必要なスキルは、使用するクラウドプラットフォームの基礎知識(AWS、Azure、GCPのうち2つ以上)、IaCツール(特にTerraform)の操作スキル、コンテナ技術(Docker、Kubernetes)の理解、基本的なネットワーク設計の知識、そしてセキュリティの基礎知識です。すべてを一人で担う必要はなく、チームとしてスキルセットを補完し合うことが重要です。
中小企業でもマルチクラウドは導入すべきですか?
すべての中小企業にマルチクラウドが必要というわけではありません。単一のクラウドで要件を満たせる場合は、無理にマルチクラウドにする必要はありません。ただし、特定のクラウドに強く依存するリスクがある場合や、各クラウドの得意分野を活かしたい場合は検討の価値があります。まずはメインのクラウドを1つ決め、必要に応じてSaaSを組み合わせる広義のマルチクラウドから始めるのがおすすめです。
マルチクラウドエンジニアの年収相場はどのくらいですか?
マルチクラウドに対応できるエンジニアの年収相場は、経験やスキルによって幅がありますが、一般的に500万〜1,500万円程度です。クラウドアーキテクトとして複数のクラウド設計ができるレベルであれば800万〜1,500万円、SRE(Site Reliability Engineer)であれば700万〜1,200万円が目安です。複数のクラウド認定資格を保有していると、さらに市場価値が高まります。
AWS、Azure、GCPの中でどれを中心にすべきですか?
一概にどれが最良とは言えません。判断基準は主に3つです。第一に、既存システムとの親和性(Microsoft製品を使っているならAzure、Oracle DatabaseがあるならOCI)。第二に、チームのスキルセット(既にAWS資格保有者が多ければAWS中心が効率的)。第三に、主な用途(幅広いサービスならAWS、データ分析・ML特化ならGCP、エンタープライズ統合ならAzure)。まずはこの3つの観点で自社に最適なメインクラウドを決め、補完的に2つ目のクラウドを追加する形がおすすめです。
コメント