マイクロサービスとは?チュートリアルを始める前に知っておくべき基礎知識
「マイクロサービスって聞いたことはあるけど、結局何なの?」そんな疑問を抱えていませんか。マイクロサービスのチュートリアルに取り組む前に、まずは基本概念をしっかり押さえておきましょう。理解があいまいなまま実装に進んでも、途中で必ずつまずいてしまいます。
マイクロサービスアーキテクチャとは、1つの大きなアプリケーションを複数の小さなサービスに分割して構築する設計手法です。各サービスは独立してデプロイ・運用でき、それぞれが特定のビジネス機能を担当します。
従来のモノリシック(一枚岩)アーキテクチャでは、すべての機能が1つのコードベースに含まれていました。これに対してマイクロサービスでは、以下のような特徴があります。
- 独立デプロイ:各サービスを個別にリリースできるため、変更の影響範囲が限定されます
- 技術の多様性:サービスごとに最適なプログラミング言語やデータベースを選択できます
- スケーラビリティ:負荷の高いサービスだけを個別にスケールアウトできます
- 障害の局所化:1つのサービスに障害が発生しても、システム全体が停止しにくくなります
- チームの自律性:小規模なチームがサービス単位で責任を持って開発を進められます
Netflixは2009年頃からマイクロサービスへの移行を開始し、現在では1,000以上のマイクロサービスで運用されています。Amazonも同様に、1つのページ表示に100以上のサービスが協調動作する仕組みを採用しています。
モノリスとマイクロサービスの比較
| 項目 | モノリシック | マイクロサービス |
|---|---|---|
| デプロイ単位 | アプリケーション全体 | サービス単位 |
| 技術スタック | 統一が必要 | サービスごとに選択可能 |
| スケーリング | 全体をスケール | 必要なサービスのみスケール |
| 開発チーム | 大規模チーム | 小規模な独立チーム |
| 障害影響 | 全体に波及しやすい | 局所的に抑えられる |
| 初期開発コスト | 低い | やや高い |
| 運用の複雑さ | シンプル | 複雑(監視・管理が必要) |
ただし、マイクロサービスは銀の弾丸ではありません。分散システム特有の複雑さが伴うため、プロジェクトの規模やチームのスキルに応じて採用を判断することが重要です。
マイクロサービスの設計原則|チュートリアルの核となる7つのポイント
マイクロサービスのチュートリアルに入る前に、設計原則を理解しておくことが成功の鍵です。実装テクニックだけを学んでも、設計思想が欠けていると保守性の低いシステムになってしまいます。
原則1:単一責任の原則(Single Responsibility Principle)
各マイクロサービスは、1つのビジネス機能だけに責任を持つべきです。たとえばECサイトであれば「注文管理」「在庫管理」「ユーザー認証」「決済処理」をそれぞれ独立したサービスとして構築します。
「このサービスは何をするものですか?」と聞かれたとき、一文で説明できないなら分割の粒度を見直す必要があります。
原則2:ドメイン駆動設計(DDD)による境界の定義
サービスの境界は、ビジネスドメインに基づいて決定します。エリック・エヴァンスが提唱したドメイン駆動設計(DDD)の「境界づけられたコンテキスト(Bounded Context)」という概念がここで役立ちます。
同じ「ユーザー」という言葉でも、認証サービスでは「ログイン情報を持つアカウント」を意味し、注文サービスでは「配送先住所を持つ顧客」を意味します。このように文脈によって意味が変わる概念を明確にし、サービスの境界を引きます。
原則3:APIファーストの設計
サービス間の通信インターフェースを最初に定義します。OpenAPI(Swagger)仕様書を事前に作成することで、チーム間の認識のずれを防げます。APIの設計が曖昧だと、後から大幅な手戻りが発生する原因になります。
原則4:データの分離
各サービスは自分専用のデータベースを持つべきです。これを「Database per Service」パターンと呼びます。共有データベースを使うと、サービス間の結合度が高まり、独立デプロイのメリットが失われてしまいます。
原則5:障害に強い設計(Resilience)
分散システムでは、ネットワーク障害やサービスダウンが前提となります。サーキットブレーカーパターンやリトライ機構を組み込み、障害が発生しても全体がダウンしない設計にします。
原則6:可観測性(Observability)の確保
分散トレーシング、集中ログ管理、メトリクス収集の3つを最初から組み込みましょう。問題が発生したとき、どのサービスのどの処理で何が起きたかを追跡できる仕組みがなければ、運用は悪夢になります。
原則7:自動化の徹底
CI/CDパイプライン、インフラのコード化(IaC)、自動テストの整備が不可欠です。サービスの数だけデプロイ作業が発生するため、手動運用では破綻します。
これらの原則は、実際の開発現場でも非常に重要視されています。株式会社アイティークロスが携わる大手自動車メーカーや金融機関のプロジェクトでも、こうした設計原則に基づいたシステム構築が進んでいます。
【実践チュートリアル】Javaで始めるマイクロサービス構築ステップ
ここからは、いよいよマイクロサービスのチュートリアルの実践パートに入ります。Java(Spring Boot)を使ったマイクロサービスの構築手順を、ステップごとに解説します。
ステップ1:開発環境の準備
まずは以下のツールをインストールしてください。
- JDK 17以上(LTSバージョン推奨)
- Maven または Gradle(ビルドツール)
- Docker Desktop(コンテナ実行環境)
- IDE:IntelliJ IDEA または VS Code
- Postman(APIテストツール)
ステップ2:Spring Bootプロジェクトの作成
Spring Initializr(https://start.spring.io/)を使ってプロジェクトを生成します。今回は「注文サービス(Order Service)」と「商品サービス(Product Service)」の2つを作成します。
それぞれのプロジェクトで選択する依存関係は以下のとおりです。
| 依存関係 | 用途 |
|---|---|
| Spring Web | REST APIの構築 |
| Spring Data JPA | データベースアクセス |
| H2 Database | 開発用の組み込みDB |
| Spring Boot Actuator | ヘルスチェック・監視 |
| Lombok | ボイラープレートコード削減 |
ステップ3:商品サービスの実装
商品サービスでは、商品情報のCRUD(作成・参照・更新・削除)操作を提供します。
まず、エンティティクラスを定義します。Productエンティティにはid、name、price、stockQuantityの4つのフィールドを持たせます。次に、Spring Data JPAのリポジトリインターフェースを作成し、コントローラーでREST APIのエンドポイントを公開します。
主要なAPIエンドポイントは以下のとおりです。
- GET /api/products:商品一覧の取得
- GET /api/products/{id}:特定商品の取得
- POST /api/products:新規商品の登録
- PUT /api/products/{id}:商品情報の更新
- DELETE /api/products/{id}:商品の削除
application.ymlではサーバーポートを8081に設定し、H2データベースの接続情報を記述します。
ステップ4:注文サービスの実装
注文サービスは、商品サービスと連携して注文処理を行います。ここでサービス間通信が登場します。
Spring BootのRestTemplateまたはWebClientを使って、注文サービスから商品サービスのAPIを呼び出します。注文が作成されるとき、まず商品サービスに在庫確認のリクエストを送り、在庫があれば注文を確定する流れです。
注文サービスのポートは8082に設定します。こうすることで、2つのサービスがそれぞれ独立したプロセスとして動作します。
ステップ5:API Gatewayの導入
Spring Cloud Gatewayを使って、APIゲートウェイを構築します。クライアントからのリクエストを適切なサービスにルーティングする役割を果たします。
ゲートウェイのメリットは以下のとおりです。
- クライアントは1つのエンドポイントだけを知っていればよい
- 認証・認可の一元管理が可能
- レートリミットやリクエストログの集約ができる
- サービスのURL変更時にクライアントへの影響がない
ステップ6:サービスディスカバリの設定
Netflix Eureka(またはConsul)をサービスディスカバリとして導入します。各サービスが自分自身をレジストリに登録し、他のサービスの場所を動的に解決できるようになります。
これにより、ハードコーディングされたURLに依存せず、サービスの追加や移動に柔軟に対応できます。
ステップ7:動作確認
すべてのサービスを起動し、Postmanで以下の順序でテストします。
- 商品サービスに商品データをPOSTで登録
- 商品一覧をGETで取得し、登録されたことを確認
- 注文サービスに注文リクエストをPOSTで送信
- 注文が正常に作成され、商品サービスの在庫が減少していることを確認
このチュートリアルでは2つのサービスですが、実際のプロジェクトでは10〜数百のサービスが連携します。基本的な仕組みはこのチュートリアルと同じです。
Pythonで作るマイクロサービス|Flask・FastAPIを使ったチュートリアル
Javaだけでなく、Pythonでもマイクロサービスを構築できます。特にFastAPIは高速で型安全なAPIを簡単に作れるため、マイクロサービスとの相性が抜群です。ここでは、FastAPIを使ったチュートリアルの概要を紹介します。
FastAPIを選ぶ理由
- 高パフォーマンス:非同期処理対応で、Node.jsやGoに匹敵する速度を実現
- 自動ドキュメント生成:OpenAPIドキュメントが自動で生成される
- 型ヒントの活用:Pydanticによるデータバリデーションが強力
- 学習コストの低さ:Pythonの基礎知識があれば短時間で習得可能
基本的な実装の流れ
FastAPIでのマイクロサービス実装は、以下の手順で進めます。
- Python 3.9以上の環境を準備し、仮想環境を作成する
- pip install fastapi uvicorn でライブラリをインストール
- 商品サービスのAPIエンドポイントを定義する
- Pydanticモデルでリクエスト・レスポンスの型を定義する
- SQLAlchemyまたはTortoise ORMでデータベース操作を実装する
- 注文サービスからhttpxライブラリを使って商品サービスを呼び出す
FastAPIの場合、コード量がJava(Spring Boot)と比べて約30〜50%少なくなる傾向があります。プロトタイプの素早い構築や、データ分析系のサービスにはPythonが適しています。
FlaskとFastAPIの比較
| 項目 | Flask | FastAPI |
|---|---|---|
| 非同期対応 | 限定的(拡張が必要) | ネイティブ対応 |
| パフォーマンス | 普通 | 高速 |
| 型安全性 | オプション | 標準装備 |
| ドキュメント自動生成 | 拡張が必要 | 標準装備 |
| コミュニティ規模 | 非常に大きい | 急速に成長中 |
| 学習リソース | 豊富 | 増加中 |
マイクロサービスの利点の1つは、サービスごとに異なる技術を使えることです。たとえば、ユーザー認証にはJava(Spring Security)、データ分析にはPython(FastAPI)、リアルタイム通知にはNode.jsといった組み合わせも可能です。
実際の現場では、Java、PHP、Python、JavaScriptなど複数の言語が混在するプロジェクトが増えています。株式会社アイティークロスでは、これらの技術を横断的に扱えるエンジニアの育成に力を入れており、充実した研修制度で多言語対応のスキルを身につけることができます。
Docker・Kubernetesでマイクロサービスをコンテナ化するチュートリアル
マイクロサービスの真の力を発揮するには、コンテナ化が欠かせません。DockerとKubernetesを使ったコンテナ化のチュートリアルを解説します。
なぜコンテナが必要なのか
マイクロサービスは複数のサービスで構成されます。サービスの数が増えると、以下の問題が顕在化します。
- サービスごとに異なる実行環境の管理が煩雑になる
- 「自分の環境では動くのに」問題が頻発する
- スケールアウト時に新しいサーバーの構築が手間になる
- 開発・テスト・本番環境の差異による不具合が発生する
Dockerを使えば、アプリケーションとその実行環境を1つのコンテナイメージにパッケージングできます。どの環境でも同一のコンテナが動くため、環境差異の問題が解消されます。
Dockerfileの作成
各マイクロサービスにDockerfileを作成します。Spring Bootアプリケーションの場合、マルチステージビルドを活用すると、最終的なイメージサイズを大幅に削減できます。
ビルドステージではMavenイメージを使ってjarファイルを作成し、実行ステージではJREのみを含む軽量イメージにjarファイルをコピーします。これにより、イメージサイズを500MBから約200MBに削減できます。
Docker Composeによるローカル環境構築
複数のサービスを一括で起動するには、Docker Composeが便利です。docker-compose.ymlファイルに以下の内容を定義します。
- 商品サービス(product-service):ポート8081
- 注文サービス(order-service):ポート8082
- APIゲートウェイ(api-gateway):ポート8080
- サービスディスカバリ(eureka-server):ポート8761
- データベース(PostgreSQL):ポート5432
docker-compose upコマンド1つで、すべてのサービスが立ち上がります。開発チーム全員が同じ環境で作業できるのが大きなメリットです。
Kubernetesへのデプロイ
本番環境では、Kubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードとなっています。2024年のCNCFの調査によると、企業の96%がKubernetesを使用または検討しているという結果が出ています。
Kubernetesの主要リソースとマイクロサービスの対応は以下のとおりです。
| Kubernetesリソース | 役割 |
|---|---|
| Pod | コンテナの最小実行単位 |
| Deployment | Podのレプリカ数管理・ローリングアップデート |
| Service | Podへのネットワークアクセスを提供 |
| Ingress | 外部からのHTTPルーティング |
| ConfigMap | 設定情報の外部化 |
| Secret | 機密情報の安全な管理 |
ローカルでKubernetesを試すには、Minikubeまたはkindが適しています。クラウド環境であれば、AWS EKS、Google GKE、Azure AKSなどのマネージドサービスが利用できます。
特にAWSは日本企業での採用率が高く、EKSと合わせてECR(コンテナレジストリ)やCloudWatch(監視)との連携がスムーズです。
マイクロサービスでよくある失敗パターンと回避策
マイクロサービスのチュートリアルで学んだ知識を現場で活かすとき、多くのチームが陥る失敗パターンがあります。事前に把握しておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。
失敗1:いきなり大規模にマイクロサービス化する
モノリスから一気にすべてをマイクロサービスに移行しようとするのは危険です。Martin Fowler氏も提唱する「モノリスファースト」のアプローチが推奨されます。
回避策:まずモノリスで構築し、ドメイン境界が明確になった段階で段階的にサービスを切り出していきましょう。最初の1〜2サービスを分離して運用ノウハウを蓄積し、その後に拡大するのが安全です。
失敗2:サービスの粒度を間違える
サービスを細かくしすぎると「ナノサービス」と呼ばれる問題が発生します。サービス間の通信コストが膨大になり、パフォーマンスが大幅に低下します。逆に粗すぎると「分散モノリス」になり、マイクロサービスのメリットが得られません。
回避策:1つのサービスが2週間以内に書き直せる規模を目安にします。チーム(5〜8人)が1つのサービスを担当できる粒度が適切です。
失敗3:分散トランザクションの扱いを軽視する
複数のサービスにまたがるトランザクション管理は、マイクロサービス最大の課題の1つです。従来のACIDトランザクションは使えないため、結果整合性(Eventual Consistency)を受け入れる必要があります。
回避策:Sagaパターンを導入し、各サービスのローカルトランザクションと補償トランザクション(ロールバック処理)を組み合わせて整合性を担保します。
失敗4:テスト戦略が不十分
単体テストだけでは不十分です。サービス間の連携を含めた統合テスト、コントラクトテスト、E2Eテストを計画的に実施する必要があります。
回避策:テストピラミッドを意識し、以下のバランスでテストを整備します。
- 単体テスト:70%(各サービス内のロジック検証)
- 統合テスト:20%(サービス間のAPI連携検証)
- E2Eテスト:10%(システム全体の主要シナリオ検証)
コントラクトテストにはPactなどのツールを活用し、APIの互換性を自動検証しましょう。
失敗5:監視・ログ管理の後回し
サービスが増えると、障害時の原因調査が飛躍的に難しくなります。「あとで整備しよう」と後回しにすると、障害対応で徹夜する羽目になります。
回避策:最初から以下の3つを導入しましょう。
- 分散トレーシング:Jaeger や Zipkin でリクエストの流れを可視化
- 集中ログ管理:ELKスタック(Elasticsearch、Logstash、Kibana)でログを集約
- メトリクス監視:Prometheus + Grafana でシステムの健全性を監視
これらの失敗パターンは、経験豊富なエンジニアほど実感を持って語れる内容です。実際のプロジェクトでマイクロサービスを扱うには、チュートリアルでの学習に加え、現場経験の積み重ねが欠かせません。
マイクロサービスに必要なスキルセットとキャリアパス
マイクロサービスのチュートリアルを完了したら、次はどのようなスキルを伸ばすべきでしょうか。マイクロサービスエンジニアとして市場価値を高めるためのスキルセットとキャリアパスを解説します。
必須スキルマップ
| カテゴリ | スキル | 優先度 |
|---|---|---|
| プログラミング | Java / Python / Go のいずれか | 高 |
| API設計 | REST / gRPC / GraphQL | 高 |
| コンテナ | Docker / Kubernetes | 高 |
| クラウド | AWS / GCP / Azure | 高 |
| メッセージング | Kafka / RabbitMQ | 中 |
| CI/CD | Jenkins / GitHub Actions / GitLab CI | 中 |
| 監視 | Prometheus / Grafana / Jaeger | 中 |
| データベース | PostgreSQL / MongoDB / Redis | 中 |
| 設計手法 | DDD / イベントソーシング / CQRS | 中 |
| セキュリティ | OAuth2.0 / JWT / mTLS | 中 |
キャリアパスの選択肢
マイクロサービスの経験は、以下のようなキャリアに直結します。
- バックエンドエンジニア:サービスの設計・実装を担当(年収500〜800万円)
- クラウドアーキテクト:システム全体のアーキテクチャ設計を主導(年収700〜1,200万円)
- SRE(サイト信頼性エンジニア):運用の自動化と信頼性向上を担当(年収600〜1,000万円)
- DevOpsエンジニア:CI/CDパイプラインの構築と開発プロセスの改善(年収600〜1,000万円)
- テックリード/CTO:技術的な意思決定とチームのリード(年収800万円〜)
IT業界では、マイクロサービス関連のスキルを持つエンジニアの需要が急増しています。求人サイトのデータによると、「マイクロサービス」をキーワードに含む求人は過去3年間で約2.5倍に増加しています。
名古屋エリアでも、大手自動車メーカーや金融機関を中心にマイクロサービスの導入プロジェクトが活発化しています。株式会社アイティークロスでは、こうした案件への参画を通じてマイクロサービスの実践経験を積むことができます。個人の希望を100%ヒアリングした上でプロジェクトをアサインするため、自分のキャリアプランに合った成長が可能です。
未経験からでもステップアップできる研修制度が整っており、異業種からの転職者が5割以上を占めるのも特徴です。年間休日125日、残業月平均12.3時間と、学習時間を確保しやすい労働環境も魅力の1つでしょう。
マイクロサービスの最新トレンド(2024-2025年)
マイクロサービスのチュートリアルで基礎を学んだら、最新のトレンドもチェックしておきましょう。技術の進化は速く、1年前の常識が今は変わっていることも珍しくありません。
サービスメッシュの普及
Istio やLinkerdに代表されるサービスメッシュが、本番環境での採用を広げています。サービスメッシュは、サービス間通信の暗号化(mTLS)、トラフィック管理、可観測性をアプリケーションコードの変更なしに実現する技術です。
2024年時点で、大規模マイクロサービスを運用する企業の約40%がサービスメッシュを導入済みとされています。
サーバーレスとの融合
AWS Lambda やGoogle Cloud Functionsなどのサーバーレス技術と、マイクロサービスを組み合わせるパターンが増えています。トラフィックが少ないサービスをサーバーレスで運用することで、インフラコストの最適化が図れます。
イベント駆動アーキテクチャの台頭
Apache KafkaやAmazon EventBridgeを活用した、イベント駆動型のマイクロサービスが主流になりつつあります。同期的なREST API通信だけでなく、非同期のイベント通信を組み合わせることで、サービス間の疎結合性をさらに高められます。
Platform Engineeringの台頭
マイクロサービスの運用負荷を軽減するため、社内開発者プラットフォーム(IDP)を構築するPlatform Engineeringという概念が注目されています。開発者が本来のビジネスロジックの実装に集中できるよう、インフラやCI/CDの複雑さを抽象化する取り組みです。
AIとマイクロサービスの統合
生成AI(LLM)を1つのマイクロサービスとして組み込むパターンも増加しています。チャットボット、レコメンデーション、自然言語処理などのAI機能を、独立したサービスとしてシステムに統合するアプローチです。
これらのトレンドを把握し、継続的に学習を続けることが、マイクロサービスエンジニアとしての市場価値を維持する鍵となります。
まとめ:マイクロサービス チュートリアルの要点整理
本記事では、マイクロサービスのチュートリアルとして、基礎概念から実践的な実装手順、そして最新トレンドまでを網羅的に解説しました。最後に要点を整理します。
- マイクロサービスの本質は、1つのアプリケーションを独立した小さなサービスに分割し、それぞれを独立して開発・デプロイ・運用するアーキテクチャです
- 設計原則として、単一責任の原則、DDD、APIファースト、データの分離、障害耐性、可観測性、自動化の7つが重要です
- Java(Spring Boot)やPython(FastAPI)を使えば、比較的容易にマイクロサービスを構築できます
- Docker・Kubernetesによるコンテナ化は本番運用の必須要素です
- よくある失敗を事前に把握し、段階的な移行と監視基盤の整備を最初から行うことが成功の鍵です
- マイクロサービスのスキルはキャリアの幅を大きく広げ、年収アップにも直結します
- サービスメッシュ、サーバーレス融合、イベント駆動など最新トレンドもキャッチアップし続けることが重要です
マイクロサービスは、学ぶべきことが多い分野です。しかし、このチュートリアルの内容を一つずつ実践していけば、確実にスキルを身につけることができます。まずはDockerをインストールして、2つのサービスを動かすところから始めてみてください。
実際のプロジェクトでマイクロサービスの経験を積みたい方は、SES企業を活用する選択肢もあります。株式会社アイティークロスでは、大手自動車メーカーや金融機関、官公庁などの多様な案件を通じて、マイクロサービスの実践スキルを磨くことができます。名古屋市中区栄に拠点を構え、Java、Python、AWS、Oracleなど幅広い技術領域の案件を扱っています。
よくある質問(FAQ)
マイクロサービスの学習にはどのくらいの期間が必要ですか?
基礎概念の理解には2〜4週間、Spring BootやFastAPIでの簡単な実装には1〜2ヶ月が目安です。Docker・Kubernetesを含む本格的なスキル習得には3〜6ヶ月程度の継続的な学習が必要です。ただし、既存のプログラミング経験やWeb開発の知識があれば、習得は大幅に早まります。
マイクロサービスの学習にはどのプログラミング言語がおすすめですか?
最もおすすめなのはJava(Spring Boot)です。企業での採用実績が豊富で、Spring Cloudエコシステムがマイクロサービスに必要な機能を網羅しています。次点でPython(FastAPI)やGo言語が人気です。Pythonは学習コストが低く、Goは高いパフォーマンスが求められるサービスに適しています。
マイクロサービスとモノリスのどちらを選ぶべきですか?
チームの人数が10人以下、もしくはプロジェクト初期段階であれば、まずモノリスで始めることを推奨します。ドメインの理解が深まり、サービスの境界が明確になった段階で、段階的にマイクロサービスへ移行するのがベストプラクティスです。最初からマイクロサービスを採用すると、設計の手戻りや運用コストの増大を招くリスクがあります。
マイクロサービスのチュートリアルを始めるのに必要な前提知識は何ですか?
最低限必要なのは、1つ以上のプログラミング言語の基礎知識、REST APIの概念理解、データベースの基本操作(SQL)の3つです。加えて、Gitによるバージョン管理、コマンドライン操作、HTTPプロトコルの基礎知識があると、スムーズに学習を進められます。Docker・Kubernetesは学習と並行して習得することも可能です。
マイクロサービスのスキルがあると転職で有利になりますか?
はい、非常に有利になります。マイクロサービス関連の求人は過去3年で約2.5倍に増加しており、特にクラウドアーキテクトやSREの求人では必須スキルとされることが多いです。Docker・Kubernetesとの組み合わせで市場価値がさらに高まり、年収アップにも直結します。名古屋エリアでも大手企業を中心にマイクロサービスの導入が進んでおり、実務経験を持つエンジニアの需要は高まっています。
マイクロサービスの通信方式にはどのような種類がありますか?
主に同期通信と非同期通信の2種類があります。同期通信にはREST APIやgRPCがあり、リクエスト-レスポンス型の処理に適しています。非同期通信にはApache KafkaやRabbitMQなどのメッセージブローカーを使い、イベント駆動型の処理に適しています。実際のシステムでは、両方を用途に応じて使い分けるのが一般的です。
マイクロサービスの開発で無料で使えるツールはありますか?
多くのツールが無料で利用できます。Spring Boot(Javaフレームワーク)、FastAPI(Pythonフレームワーク)、Docker Desktop(個人利用は無料)、Minikube(ローカルKubernetes)、Postman(APIテスト)、VS Code(エディタ)などが代表的です。クラウド環境もAWS、GCP、Azureの無料枠を活用すれば、学習段階ではほぼコストをかけずに実践できます。
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